日本に必要なリーダーシップとは何か

昨年11月に上梓されたちきりんこと、元マッキンゼー採用マネージャーの伊賀泰代氏の「採用基準」によれば、「マッキンゼーの」採用基準は1にリーダーシップ、2に地頭、3が英語力の3つ。コンサルと言えば地頭が良いことが必須条件と思いきや、リーダーシップの資質の方が重要なのだと。ここで言うリーダーシップは、意思決定し、成果目標を据え、行動し、課題解決する能力。そして組織の人心掌握。

コンサルの仕事って、クライアントの中に既に用意された答えが社内政治的に決めにくいんで、外部から入り込んで反対勢力を説得することなんだよね。論理思考とか学歴とかは説得のための武器で、答えを探し当てるためのツールではない。だから、1がリーダーシップで2が地頭というのは、コンサルの採用基準としては理にかなっている。

ではこれがストレートに「日本社会にいまこそ必要な人材像」かと問われるとどうかね?

なんか物足りない。シビレる感じがしない。

必要とされているのは、
・海外で雇った現地社員を率いて、開発、営業、マーケティングなどの事業オペレーションを、海外でも回していけるリーダー
・海外で買収や提携した企業の社員とともに、事業企画や問題解決のプロセスを率いていけるリーダー
ではないのでしょうか?

これってさ、上から降って来た課題を手際良くこなすスーパー中間管理職と変わんないじゃない。どんなに頑張っても労働者サイド。全然セクシーじゃない。自分で未来を予測して、リスク張って行く感じがない。

僕が考える今ニッポンに必要なリーダー像はこんな感じ。

先見の明があるリーダー、または
強運を持つリーダー+参謀
そんでもって戦略、戦術において非情であること。

みんな勝ち馬に乗りたいよね。勝ち馬でさえあればいいんだよ。クズみたいな人間性でも。そしたら人はついてくる。

例えて言えば、インテルのアンディ・グローブだ。彼がDRAMからの撤退時に何をしたか、日本の製造業のトップはつくづく学んだ方がいい。資本家はああいうのに投資する。

え、アンディ・グローブを知らない?
じゃ、碇ゲンドウでもいいよ。織田信長でも大丈夫。

信長時代の秀吉みたいなのは日本の会社にいっぱいいるんだよ。これが伊賀氏のリーダーのイメージ。でも今の日本に必要なのは次に来る社会を夢想できて、突き進んだ信長だよね。


ていうか、これそのまんま伊賀氏が否定するカリスマ型ぢゃないですか。

でもね、出井伸之氏ではない。あれは、ええかっこしいにリーダーやらせたらこんなんなっちゃいましたっていう典型。そこをどう見極めるかが問題だな。

と、書いていたらこんな記事が。

私たちは地位が高い人がリーダーだと思いがちですが、教授は「『真のリーダー』と『権力のあるポジション』は全く別物だ」と言います。

 これは権力のあるポジションにいる人が、必ずしも社会を良い方向にリードするわけではないことが歴史を振り返っても言えるためです。「一番危険なのは聞こえがよい策を提示する権力者を盲目的に信じてついていき、全員崖から落ちることだ」と。

 資本家的には、国家レベルはヤバいけど、会社程度の組織が潰れるくらいならいいんじゃねーの?と考えるが、労働者からすると博打打ちみたいなトップは勘弁してくださいってことになるんだろうね。つまり、決められない、大きく舵をとることが出来ない。それが今の日本の閉塞感を生み出しているんぢゃないかな。

高成長時代を代表する当時の新興企業が労働者トップになって、そろそろ30年。リスクをとれない、未来を読めない人間をトップに据えた会社はじり貧が鮮明になってきた。

 

と言うことで、当ブログは自分の仮説を信じてリスクをとれる資本家・事業家が山ほど出て来てくれることを願います。

 

伊賀氏の言いたいことを全然理解していないと思ったあなた、鋭い!

「採用基準」読んでません。

 

そんじゃーね。